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土地・建物を譲渡した際の立退料の取り扱いについて
自己所有の賃貸物件を譲渡した際に、入居者に対して立退料の支払が生じる場合がありますが、この場合の税務上の取り扱いについては、名称の如何にかかわらず、実態で判断されることになります。
例えば、賃貸物件の所有者が入居者の立退きのために、立退料、引越し費用等を支出する場合があります。これらは法人税法上、譲渡費用として、損金の額に算入されることになるため、通常は問題となりません。
しかしながら、消費税法上は、課税区分について、注意が必要です。立退料は、借家権消滅の対価であり、資産の譲渡の対価とならなりません。したがって、不課税取引となるため、消費税の計算上、除外されることとなります。
これは、消費税法基本通達5-2-7「建物賃貸借契約の解除等に伴う立退料の取扱い」の「賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない」という部分に該当します。すなわち、借家権消滅の対価は、資産の譲渡等の対価に含まれないということになります。
引越費用は通常、課税仕入となるが、今回のような場合は、不課税取引となります。これは、その引越費用は立退きのために支出する費用であり、引越費用と明記されていても、その実態は立退料の内訳に過ぎないものであるからです。そのため、仮に消費税が支払明細書等に明記されている場合でも、消費税部分を含む金額を、不課税取引として処理しなければなりません。