土地・建物を一括譲渡した場合の取り扱いについて

土地・建物を譲渡した場合、土地は消費税法上は、非課税取引であり、建物は課税取引に該当します。譲渡の際は、通常契約書によりその譲渡対価が明記されているため、問題となりません。

しかしながら、同一の者に対し、同時に一括して譲渡した際、両者が区分されていない場合があります。この場合は、合理的に両者を区分する必要がありますが、その手法としては以下の3つが考えられます。

(1)控除方式…土地か建物いずれかの価額を求めて、そのいずれかの価額を全体の金額から控除する方法
a)建物価額を求め、一括された譲渡対価からその建物価額を控除した残額を土地価額とする方法
 建物価額を求める方法としては、以下の方法があります。
ア 定額法による未償却残高
イ 定率法による未償却残高×建築価額上昇率

b)土地価額を求め、一括された譲渡対価からその建物価額を控除した残額を建物価額とする方法
土地価額を求める方法としては以下の方法があります。
ア 公示価格
イ 売買事例を斟酌する方法
ウ 不動産業者、金融機関等の第三者による査定価格

(2)按分方式…一定の基準に基づき按分する方法(消費税基本通達10−1−5)
a)譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率により按分して計算する方法
b)相続税評価額や固定資産税評価額を基に按分して計算する方法
c)土地及び建物の原価を基に按分して計算する方法

(3)その他
a)不動産鑑定士による評価
b)複数の方式による評価額を平均して算定する方法

土地・建物を一括して譲渡した場合には、消費税の取り扱いが焦点となります。消費税基本通達10−1−5では、譲渡対価の合理的な区分の方法として、(2)按分方式を例示しているため、方式の決定にあたっては、まず(2)按分方式を検討するべきです。

とりわけ、(2)b)相続税評価額や固定資産税評価額を基に按分して計算する方法については、比較的、客観性が高く、数値の把握が容易であり、かつコスト面でも有利であるため、もっとも実践的な方法であると考えられます。

以下、設例を用いて、固定資産税評価額により、土地・建物の譲渡対価を区分する方法を示します。

【設例】土地・建物の譲渡対価の合計額が60,000、帳簿価額が土地30,000、建物8,000、固定資産税評価額が土地40,000建物10,000の場合
・土地の譲渡対価60,000×40,000/(40,000+10,000)=48,000
・建物の譲渡対価(税込)60,000×10,000/(40,000+10,000)=12,000
・建物にかかる消費税12,000×5/105=571.4・・・→571
・仕訳

(借 方)
現金及び預金 60,000
(貸 方)
土  地 30,000
建  物 8,000
仮受消費税 571
固定資産売却益 21,429

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