会社設立の際の注意点6【事業年度が1年に満たない場合2 減価償却】

前回のコラムで、会社設立初年度は、
事業年度が1年に満たない場合が多いので、
注意するべき点が多くなる、と申し上げました。

中でもややこしいのが、減価償却です。

減価償却とは、使用期間が1年以上の、10万円以上の資産を購入した場合、
一度に費用化するのではなく、その使用可能期間(耐用年数)に応じて費用化する制度です。

例えば、決算前に、300万円の利益が出ている場合、じゃあ、車でも買って節税しようか、と
300万円の車を買っても、300万円の経費になるわけではありません。
税法上は耐用年数6年ですから、6年かけて費用化しなくてはならないのです。

その結果、300万円の出費の割には、税金が減らないということになり、 資金繰りが悪化することになります。

また、その使用期間(耐用年数)は、法定耐用年数といい、個別に定められておりますので、 勝手に自分で耐用年数を決めるということはできません。

減価償却の計算は、通常、下記の通り行います。

取得価額(買った値段)×償却率(※)×実際に使った月数/12か月

※償却率は、法定耐用年数により決まります。

事業年度が1年の場合を基準として償却率は定められておりますので、
1年未満の場合にはそれに応じた償却率に改定する必要があります。

事業年度が1年に満たない場合には、次の償却率となります。
(平成19年4月1日以降に取得した資産を対象とします)

・定額法の場合の償却率の改定

定額法の償却率×事業年度の月数/12

・定率法の場合の償却率の改定

定率法の償却率×事業年度の月数/12

(1ヶ月に満たない月数は「切り上げ」になります)
また、償却率に端数が生じた場合、小数点3位未満の端数を「切り上げ」ます。

さらに、減価償却限度額の計算をする場合には月数按分も必要になります。
減価償却費×事業の用に供した日から期末までの月数/その事業年度の月数

【計算例】

事業年度(第1期):H22/9/2-H22/3/31
取得価額:300万円
取得日:H22/12/10
耐用年数:6年
定率法償却率:0.417

償却率の計算
0.417×7月/12月=0.24325→0.244
※H22/9/2-H22/3/31→6月と28日→7ヶ月

償却限度額の計算
3,000,000円×0.244×4/7=418,285円
※H22/12/10-H22/3/31→3月と21日→4ヶ月

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